山森衛(ジェンダーSF研究会会員)
白川紺子『後宮の烏』全7巻〈集英社オレンジ文庫〉
淡々と続いていくエピソード集と思いきや、最後に壮大かつ綺麗にまとめてありました。用語についても日中双方、とくに星座の名前など作者の方の知識の深さが垣間見られました。点心美味しそうでした。
高野史緒『カラマーゾフの兄妹 オリジナルバージョン』〈盛林堂ミステリアス文庫〉
わたくしにロシア文学の素養がさっぱりありませんので講評などは出来ませんが、後半部でいっきにSFになっていく様子が面白かったと思います。
菅野文『薔薇王の葬列』全17巻〈秋田書店プリンセス・コミックス〉
繊細な絵柄で、すっと物語に入っていけました。時代の小物に関しても細かく描かれていて、違和感がありませんでした。この時代だと「ジェンダー」というよりは「異端」だと 思いますが、主人公の悩みが伝わってきました。
映画『PLAN75』早川千絵監督作品
怖かったです。以上。が正直な感想ですが。グロテスクな描写を一切使わずにディストピア感をひしひしと出して下さいました(だからよけいに怖い)。小道具が少し古びているのが、主人公の終わりのイメージなのかなと思いました。
松崎有理『シュレーディンガーの少女』〈創元SF文庫〉
どれも無理なくアイデアとストーリーが絡まっていて、楽しませていただきました。ただ、64歳の姐さんのようなちょっとした毒があるとなお楽しめたかと思います。