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2014年度 第14回Sense of Gender賞

受賞作品

2014年度 第14回Sense of Gender賞発表

2014年度 第14回Sense of Gender賞は2015年8月29日(日)、第54回日本SF大会 米魂(鳥取県米子市・米子コンベンションセンター/米子市文化ホール)にて発表されました。

  • 発表・授賞式 第54回日本SF大会 米魂(2015年8月29日 鳥取県米子市・米子コンベンションセンター/米子市文化ホール)
  • 賞状、トロフィー

2014年度 第14回Sense of Gender賞 最終選考作品

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第14回センス・オブ・ジェンダー賞決定報告

2001年度から始まったSense of Gender賞(センス・オブ・ジェンダー賞、以下SOG賞)は、今年で第14回目を迎えました。この賞は、アメリカのジェイムズ・ティプトリー・ジュニア文学賞と同様に、前年度の1月1日から12月31日まで1年間に刊行されたSF作品の中で、性差についての考えを時に倒錯的なまでに深めていると考えられる作品を、「あなたのSF的ジェンダー的思索はすばらしい」と褒めたたえる年次 SF賞です。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア文学賞は、1991年にアメリカの女性SF作家パット・マーフィーとカレン・ジョイ・ファウラーを発起人として設立されました。現在は、多くの女性SF作家・批評家・編集者とファンによって運営されており、毎年5月にウィスコンシン州マディソンで開催されているフェミニスト系SF大会「ウィスコン」にて、授賞式が行われています。わたしたちジェンダーSF研究会は、ティプトリー賞の主催者たちと連絡をとりあいながら、日本における姉妹賞としてSOG賞を立ち上げ、2001年から活動を行っています。

前年に引き続き候補作は、ソーシャルネットワーク・サービス「mixi」内の「ジェンダーSF研究会」コミュニティほか一般より候補作品を広く募集し、5月5日に開催された「SFセミナー」合宿企画における公開討論を経て、後日ジェンダーSF研究会正会員による検討会を行い、5作品にしぼりこみました。

最終選考会は、去る7月26日に開催され、立原透耶(作家)、柴田英里(現代美術作家)、渡邊利道(作家・評論家)、柏崎玲央奈(SF評論家、ジェンダーSF研究会会員)、鈴木とりこ(評論家、ジェンダーSF研究会会員)の諸兄姉による白熱した議論を経て、決定いたしました。

今年は、大賞のほか、少子化対策特別賞、人工知能特別賞として計三作品が選定されました。

少子化対策特別賞、人工知能特別賞は、センス・オブ・ジェンダー賞としては初めて設けた部門賞ですので、新規設立の経緯を、以下に説明させていただきます。

この二作は、二名の選考委員がそれぞれ強く推した作品でした。

センス・オブ・ジェンダー賞の最終選考は、議論後の票数で決まる事が多いのですが、議論の中ではこの二作品はまさに「今」だからこそ描かれたものであり、「2014年現在」という文脈をはずしてはならないのではないかとの、強い問いかけがありました。

なるほど、日本における少子高齢化社会における出産と女性の問題や、人工知能学会誌の表紙絵騒動といった状況を背景に、この二作品を読み込んで行くと、現代日本社会の性差の問題点が明快に理解されるばかりではなく、そこに新しい見方が提示されていることに気がつきます。

「今、ここ」にぴったり寄り添う作品をどう評価するのか。さまざまな話し合いを経て、選考委員会はこれら二作品を本年度の特別賞とし、ディスカッションのなかで深められた現代的主題を冠した部門を設定することといたしました。今、ここにある問題点が、わたしたちの現実をどのように切り取ったのかを、読者のみなさんとともに見て、そして考えていくよすがとなれば、これに優る喜びはありません。

今回も選考委員の先生方からは、力のこもった選評をいただきました。各作品がどう読まれ、なぜこの結論に達したのか、ぜひ、対象作品とともに、講評をお読みいただき、そして褒めたたえていただきたいと思います。

今後も、性差という視点を介して、作品に新しい世界が見えてくることを、わたしたちは大いに期待しています。本賞が、みなさまのジェンダー観に新しい視点を獲得する一助となれば幸いです。

(ジェンダーSF研究会発起人代表 小谷真理)

最終選考委員の講評

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