人工知能特別賞
西UKO『となりのロボット』
〈秋田書店〉
受賞の言葉
この度はSense of Gender賞人工知能特別賞を授与いただき大変光栄に思います。本作に執筆の機会を与えて下さった、秋田書店プリンセスGOLD編集部と担当編集𠮷野氏に感謝致します。またご推挙下さった諸先生方、読者の皆様に御礼申し上げます、ありがとうございます。
私は女性同性愛作品、昨今「百合」と呼ばれているジャンルで漫画を発表していますが、本作に限らず、中に同性愛への偏見や拒絶やいじめを描写していません。私にとって同性愛は乗り越える問題ではなく、少数派ではあるけれども「在るもの」として、彼らあるいは自分自身とのつきあい方を 描いていくものだからです。
ジェンダーについても同じ事が申せます。本作には人間の機能を保存する為のロボットが複数登場しますが、運動能力を実現する為のものは男性型であり、人間の可塑性 を表現するものは女性型として作成されています。優劣をつけたり、あるいは同等を希求するものではなく、違いがあるという前提の下に互いは存在するもの、 そうした描き方を心掛けています。
在るものが在るがままに受容され、尊重される状態。その姿を描くことで、そして読むことで、肯定する気持ちを繋いでいければ嬉しく思います。
西UKO / UKOZ