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2017年度 第17回Sense of Gender賞 特別賞

特別賞 溝口彰子『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』(太田出版)『BL進化論〔対話篇〕ボーイズラブが生まれる場所』(宙出版)

受賞の言葉

賞をいただくのが、こんなにも嬉しいものだとは……!

研究生活20周年の今年、『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』と『BL進化論〔対話篇〕 ボーイズラブが生まれる場所』2冊に対して、ジェンダー感覚と銘打った素晴らしい賞をいただいたことは、この上なく光栄です。

研究の発端について少し。そもそもはレズビアンの視点からアートや映画を研究したい、と米国ロチェスター大学大学院ビジュアル&カルチュラル・スタディーズ・プログラムに留学。が、最初の数週間で自分の感性や価値観は、1970年代の少女漫画のなかの「美少年漫画」「少年愛」と呼ばれた作品群の影響をこそ色濃く受けていることに気づきました。レズビアンかもと自覚した時にはすでに、「同性愛感情という意味では『摩利と新吾』の摩利と同じなのだから、世間が何といおうとこれが悪いものであるはずがない」と思えて育ったことや、そもそも何を異端とするかは人為的な言説構築でしかないことをエドガーに学んだ、などなど。

当時、BLは、「JUNE」「やおい」「耽美」「ボーイズラブ」などの名称で、美少年や美青年同士の愛を軸とした物語群がポルノグラフィ要素も得ながら一大ジャンルとして人気を博していることはうっすら知っていたため、「なぜ毎日男性同性愛物語を書いたり読んだりしている女性達のほとんどが、異性愛者でいられるのだろう?」などの素朴な疑問を抱き、BL研究者活動と愛好家活動を始めたのでした。

なんとか当初の疑問群には答を—想像以上に多層的でしたが—出すことができました。その上で作家さんたちと「対話」し、さらにBLへの愛が深まっています。1冊目の『BL進化論』は中国語と韓国語でも出版され、「(BLで)『愛を交わす喜び』を理論する」営みが拡がってもいることも嬉しいです。

現在、私は英語の学術書の出版をめざし、2冊の『BL進化論』のエッセンスを英語圏の人々に伝わりやすいように切り口や構成を組み直す作業に入っています。この研究は2008年時点で英語の博士論文としてまとめたとはいえ、数段上の議論、あるいは数倍、数千倍の英語圏読者に届く書籍になるようにと考えることは、自分史上最大の挑戦だと感じています。

そんなおりの「センス・オブ・ジェンダー」賞特別賞はパワフルな応援です! 本当にありがとうございます。

溝口彰子

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