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2016年度 第16回Sense of Gender賞

受賞作品

2016年度 第16回Sense of Gender賞発表

2016年度 第16回Sense of Gender賞は2017年8月27日(日)、第56回日本SF大会 ドンブラコンLL(静岡県・コンベンションアーツセンター「グランシップ」 )にて発表されました。

  • 発表・授賞式 第56回日本SF大会 ドンブラコンLL(2017年8月27日 静岡県・コンベンションアーツセンター「グランシップ」)
  • 賞状、トロフィー

2016年度 第16回Sense of Gender賞 最終選考作品

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第16回センス・オブ・ジェンダー賞

2001年度から開始されたセンス・オブ・ジェンダー賞も、昨年節目となる15回を迎え、今年16回めとなりました。こうして続けてこられたのも、選考委員を引き受け、真摯に作品を読み、また自己のジェンダー観に向き合いながら、選考して下さったみなさまと、また、こうして手弁当で行っている賞を、真面目に受け止めて下さる受賞者のみなさまのおかげと、感謝しております。

毎回積極的に候補作を持ち寄って下さるSF読者のみなさま、授賞式の執り行いにご協力下さるSF大会実行委員のみなさまの力なくしては、この賞も成り立ちません。いつもありがとうございます。

この東の小さな国の賞の結果を、いつも楽しみに待ち望み、受け止めて下さっている、共同企画者であるWISCONおよびティプトリー賞運営のみなさまにも、御礼申し上げます。

そして、結果を興味深く見守って下さる方々、今後ともセンス・オブ・ジェンダー賞とジェンダーSF研究会をよろしくお願いします。

さて、今回ははじめて候補作をTwitterにてハッシュタグを用いて募集するということを試みました。そして、前年度に引き続き、5月4日に開催されたSFコンベンション「SFセミナー」合宿企画における公開討論を経て、後日ジェンダーSF研究会正会員により検討会を行い、5作品にしぼりこみました。

また、その検討会の場においてジェンダーSF研究会正会員により、映画『シン・ゴジラ』について話し合ううちに、怪獣という災害に直面し自分のできる限りを誠実に行う、いままでにない新しいヒロイン、類い稀な女性キャラクターである尾頭ヒロミをクローズアップし、ぜひ褒め称えたいという機運が盛り上がりました。実在しないキャラクターではありますが、そのキャラクター造形を現実へと召喚した市川実日子さんに、ここに「特別賞」として従来の選考作品とは別に賞を設け、受賞となりました。

最終選考会は、去る7月22日に渋谷にて開催され、川又千秋(SF作家・評論家)、茅野裕城子(作家)、青井美香(編集者)、かたやま伸枝(ライター・占い師、ジェンダーSF研究会会員)、おのうちみん(WEBデザイナー、ジェンダーSF研究会会員)の5名による忌憚のない討論を経て、決定いたしました。

今年は大賞という形ではなく、それぞれにテーマ性を持たせた受賞となりました。

選考委員の多くの支持を得て〈未来にはばたけアイドル賞〉に決定したのが、草野原々『最後にして最初のアイドル』でした。いま現在百花繚乱の様相をなす、2次元2.5次元3次元のアイドルたち……その概念をSFの妄想力フルスロットで力強いく描き上げた本作品は、中編ながら、読む人を、まるでアイドルに宿るその不思議な力のごとく、魅了しました。

そして、〈時を超える賞〉として、2016年にクラウドファンディングにより成立し、いまや世界中で話題となっている映画『この世界の片隅に』(片渕須直監督)、それとともに改めてこうの史代『この世界の片隅に』のすばらしさを褒め称えたいという、選考委員一致による受賞となりました。

いま、手の平を返すようにあちらこちらで情勢が変わり、世界中が不安になる中で、それでも日常を生き、ふと落ちる違和感をファンタジーの形を借りて表現した、この作品の力強さに私たちはまた希望を見いだします。これらの作品が多くの人に読まれ、心にあかりを灯していくことを願います。

選考委員の先生方より、それぞれの作品について講評をいただいております。最終候補作5作とともに講評をお読みいただき、ジェンダーについて、また考えるきっかけとしていただければと思います。

今後も、性差という視点を介して、作品に新しい世界が見えてくることを、わたしたちは大いに期待しています。本賞が、みなさまのジェンダー観に新しい視点を獲得する一助となれば幸いです。

(ジェンダーSF研究会発起人 柏崎玲央奈)

最終選考委員の講評

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