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Sense of Gender賞

2004年度 第4回Sense of Gender賞

2004年度 第4回Sense of Gender賞 受賞作品

2004年度 最終選考作品

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最終選考委員の講評

 何もないところから始め、様々な試行錯誤を繰り返しながら、Sense of Gender賞も四回目を迎えました。

 アメリカの女性SF作家パット・マーフィーとカレン・ジョイ・ファウラーが発起人となり、一九九一年に設立されたジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞と同様、柏崎玲央奈、工藤央奈、小谷真理の三名が発起人となり、二〇〇〇年に発足したジェンダーSF研究会が支援するSense of Gender賞も、多くのSFファンに支えられ、運営されています。

 この賞は、前年度の一月一日から一二月三一日までに刊行されたSF&ファンタジー関連作品を対象に、性的役割というテーマを探求し深めたものに与えられるものです。ひらたくいうと、「SF的にジェンダーについて深く考えされる日本の作品を選び、あなたのSF的ジェンダー考察はすばらしい」と一方的に褒め称えさせていただく賞です。名付け親は、SF評論家の永瀬唯氏によるものです。

 本家のティプトリー賞は、初期のころには、選考委員五名が発起人と話し合って受賞作を選んでいました。最近では、選考委員五名が中心になって選考し、歴代の選考委員と受賞者、それに発起人と世話役など関係者で構成されるマザーボードが これをバックアップしているようです。そして、性差論への理解を深め、一般への浸透をはかろうとしていたため、選考過程はくわしい選評を伴い公開することが原則となっています。

 日本のSense of Gender賞は、この方式を昨年から導入しています。今年はさらに、マザーボードのメンバーによって構成されるメーリングリストに加え、メンバーのみがアクセスできる掲示板の使用を試みました。さらに最終選考会を開き、選考委員が互いの意見を持ち寄り、積極的な討議が行われました。今年の選考委員は、井辻朱美、大串尚代、おのうちみん、高原英理、とりこ、各氏五名にお願いを しました。

 最終選考に先立つ五月のSFセミナーでは、参加者のSFファンを交えて討議し、その議論を反映した以下の五作が選ばれました。〈森奈津子短編〉として、森奈津子氏の『からくりアンモラル』(早川書房)、『電脳娼婦』(徳間書店)、『ゲイシャ笑奴』(ぶんか社)の三冊の短篇集をまとめたもの、川原泉『ブレーメンII』全五巻(白泉社)、粕谷知世『アマゾニア』(中央公論新社)、小谷真理『エイリアン・ベッドフェロウズ』(松柏社)、映画『下妻物語』(中島哲也監督作品)……映画、まんが、評論、ファンタジー、SFと、さまざまなジャンル、メディアを縦断した、どれも見所のある作品がそろいました。
 ただ今年、この賞の発起人である小谷真理の作品が候補作に選出されたことについて、SFセミナーの場でも議論が分かれました。今後も同様のことが起こり得ることも考え、さまざまな問題を含め、最終選考の場で討議していただこうということになり、敢えて候補作に残しました。その結果は……このあとの選評をご覧下さい。

 SFやファンタジー作品という空想的な世界では、既存の男女といった単純な性差に二分化されない、自由な発想があります。そこでは私たちはどのような作品を目にするのでしょうか。
 今年のSense of Gender賞の候補作と選評を読みながら、私たちのジェンダー観を再確認し、新しい視点を獲得していきたいと思います。

(ジェンダーSF研究会発起人・柏崎玲央奈)

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