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2012年度 第12回Sense of Gender賞

受賞作品

2012年度 第12回Sense of Gender賞発表

2012年度 第12回Sense of Gender賞は2013年7月21日、第52回日本SF大会 こいこん(広島県広島市・アステールプラザ)にて発表されました。

  • 発表・授賞式 第52回日本SF大会 こいこん(2013年7月21日 広島県広島市・アステールプラザ)
  • 賞状、トロフィー

2012年度 第12回Sense of Gender賞 最終選考作品

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第12回センス・オヴ・ジェンダー賞プレス・リリース

2001年度から始まったSense of Gender賞(センス・オブ・ジェンダー賞、以下SOG賞)ですが、今年で、第12回目を迎えることになりました。この賞は、アメリカのジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞と同様に、前年度の1月1日から12月31日まで一年間に刊行されたSF作品の中で、性差についての考えを深めていると考えられる作品を、「あなたのSF的ジェンダー考察はすばらしい」と褒めたたえるものです。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞は、1991年に、アメリカの女性SF作家パット・マーフィーとカレン・ジョイ・ファウラーを発起人として設立されました。現在は、多くの女性SF作家・批評家・編集者とファンによって運営されており、毎年5月にウィスコンシン州マディソンで開催されているフェミニスト系SF大会「ウィスコン」にて、受賞式が行われています。わたしたちジェンダーSF研究会は、ティプトリー賞の主催者たちと連絡をとりあいながら、その日本における姉妹賞として SOG賞を立ち上げ、2001年から活動を行っています。

今年度候補作は、5月3日のSFセミナー合宿企画において昨年度の注目作品の提示と公開討論を経て、後日ジェンダーSF研究会正会員による検討会を行い、5作品にしぼりこまれました。

最終選考会は、去る7月7日に開催され、ひかわ玲子(ファンタジー作家)、原田和恵(ワシントン大学・日本文学専攻SF)、灰原由宇(ジェンダーSF研究会会員)、三五千波(ジェンダーSF研究会会員、漫画家)の各選考委員の方々にご参加いただき、議論を経て決定いたしました。

今年は、大賞のほか、生涯功労賞(Life Achievement Award)が選定されました。

生涯功労賞は、センス・オブ・ジェンダー賞としては初めて設けた部門賞ですので、新規設立の経緯を、以下に記します。

選考委員による最終選考の場において、萩尾望都『なのはな』は、この時代この時期に人々に勇気と希望を与えてくれる力強い作品を送り出す力と、放射性物質を擬人化した表現に、ジェンダーを考えさせるすばらしい作品であると、選考委員みなの意見が一致しました。と、同時に、もしSOG賞設立以前にも賞があったならば『マージナル』や《A-A’》シリーズなどの様々な作品も選出できるであろうこと、また昨年度の選考会にて候補作となった『音楽の在りて』も初出年代が過去の作品であったことなどを踏まえ、萩尾望都氏の、すべての年代での作品を讃えることはできないかという議論になりました。

また小谷真理氏より、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞においても、遡及(retrospective)賞が設けられており、ジョアナ・ラス、ル・グィン、そしてスージー・マッキー・チャーナスの過去の作品が受賞していること、フェアリー・ゴッドマザー賞(妖精教母賞)をアンジェラ・カーター自身が受賞していることなどが指摘され、過去作品や人物を表彰する賞創設の可能性が示唆されました。

これからもすぐれたSF作品を創出し大賞として候補に挙がり続けるであろうことや、日本のSFシーンにおいて欠かせない存在であることを鑑み、ジェンダーSF研究会からもぜひお願いしたいと、選考委員とともに、生涯功労賞を設立することとなりました。

以上の賞設立に加え、白熱した議論を経て、大賞を決定いたしました。
各作品を、選考委員がどう読み、なぜこの結論に達したのか、ぜひ、対象作品とともに、選考委員の方々の講評をお読みいただき、一緒に考えていただきたいと思います。

今後も、性差という視点を介して、作品に新しい世界が見えてくることを、わたしたちは大いに期待しています。本賞が、みなさまのジェンダー観に新しい視点を獲得する一助となれば幸いです。

(2012年度SOG賞幹事 ジェンダーSF研究会発起人 柏崎玲央奈)

最終選考委員の講評

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