特別賞(功労賞)
栗本薫/中島梓
受賞の言葉
センス・オブ・ジェンダー賞を授賞くださるとのこと、たいへん光栄なお話で故人にかわり御礼もうしあげます。
中島にとっては、小説も含めて表現というのはたんなる仕事ではなく、呼吸をしたり食事をしたりとおなじ、生きることそのものだったようです。絶えず痛みに苦しめられ、デスクに30分も座っていられない状態でグイン・サーガを書き、さらに商業出版をまったく考えていなかった矢代俊一のシリーズも書き続けていました。同人誌としてのみ出版されている矢代俊一のシリーズは、未発表原稿がすでに2万6千枚に達しています。常識的な考えからすれば、ベスト・セラー・シリーズを抱えながら、しかもその体調でまったく売れるあてもないシリーズを平行して書くなどということは狂気の沙汰でしょう。しかしながら、中島にはそれが生きるということだったようです。
今回の賞は商業的な評価を離れた、表現者としての活動を評価していただけたものと思います。きっと中島はその評価をとても嬉しく、名誉に思っていることでしょう。
ありがとうございました。
今岡 清