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2010年度 第10回Sense of Gender賞 大賞

大賞 上田早夕里『華竜の宮』(ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

受賞の言葉

 このたびは名誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。
 拙作の、どのような点がこの賞に相応しいと判断されたのか——まだうかがっておりませんので、以下は、こちらで適当に想像しながらのコメントです。

 パンセクシュアル的な世界観が好きで、SFならそれを自由に表現できるのではないかと思いつつ、でも、それを生真面目に書くのも気恥ずかしいよなあ、もっとさりげなく、自然な形で物語世界へ導入してみたいなあ……と考えて試してみたのが今回の作品でした。

 あらゆる種類の性別や性自認や性指向が穏やかに受容される社会が実現したら、どれほど幸せなことでしょう。現実の社会には様々な問題が山積しています。しかし、フィクションの世界なら、一足飛びにそこへ至れます。

 本作はジェンダーを主題とした作品ではありませんが、前述のような価値観を、社会的背景として作中に少しだけ忍び込ませております。意図的に何も説明せず、アルファベットの組み合わせで表現するという手段を取ったのですが、そのような部分を大切な要素として楽しんで頂けたのであれば、大変うれしいことです。
 加えて、「ヒト」と「ヒトではないもの」の繋がりを、セクシュアリティという側面から捉えて頂けたのだとすれば、SFを書く者として、これ以上の喜びはありません。

上田早夕里

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